食と暮らしの歳時記『寒露』

食と暮らしの歳時記


 
四季折々の旬の味覚と年中行事、心身の養生法などをご紹介します。

二十四節気・七十二候、日本に古くから受け継がれてきた月ごとのならわしや行事。それらを旬の食とともに暮らしに取り入れ、愉しむことで情緒豊かな心と健康な身体が育まれることを願います。。
 
家族や友人、ご近所さんとのちょっとしたご挨拶の中の話題などに、また季節を感じる食卓の彩りとなれば幸いです。

 
 

寒露(10月8日〜10月22日頃)

 
寒露とは、露が冷たく感じられてくるころのこと。
空気が澄み、夜空にさえざえと月が明るむ季節。
 


 

初候

鴻雁来る(がんきたる)
雁が北から渡ってくるころ
その年初めて訪れる雁を、初雁という
新暦では、およそ十月八日〜十月十二日ころ

 

【候のことば】

菊と御九日
九月九日の重陽の節句は菊の節句、ですが…
新暦のころにはまだ菊は花を咲かせません。
旧暦の九月九日ごろになると、開花の時期を迎えます。
例えば、新暦からひと月遅れの十月九日ごろに長崎の諏訪神社で催されるのは、長崎くんちという、
 


 

【旬の魚介】

ししゃも
産卵期の十月が旬のししゃも。
漢字で柳葉魚と書くのは、柳の葉がししゃもになったというアイヌの伝説からだそう。一般に出回っているのは干物だが、旬のししゃもは刺身も美味。魚市場では、カラフトシシャモと区別して、本ししゃもと呼ぶこともある。
 


 

【旬の野菜】

しめじ
「香り松茸、味しめじ」の言葉どおり、しめじは旨みに満ちている。
ほんしめじは、広葉樹やアカマツなどの林に自生する野生種のこと。
よく出回っているのはぶなしめじ。しめじの名前で並ぶものがほとんどだが、ひらたけの一種。ほんしめじは年々希少に。旬は9月~10月。
 


 

【旬の草花】

ななかまど
山で見かけることも、北国の街路樹として出会うこともある、ななかまど。
初夏に枝先に白い小花を咲かせ、秋には紅葉し、真っ赤な丸い実が房になって実る。雪の降るころには、白に赤い実の色が際立つ。七度竈に入れても燃え残るほど燃えにくい木のたとえから、その名がついたとか。


 

 


 

次候

菊花開く(きっかひらく)
菊の花が咲き始めるころ。
菊は初め薬草として奈良時代に中国から伝わったとか。
新暦では、およそ十月十三日〜十月十七日ごろ

 


 

【候のことば】

菊枕(きくまくら)
旧暦九月九日の重陽の日に摘んだ菊の花びらを、乾かして詰め物にし、菊枕にします
菊の香り漂う寝心地に、恋する人が夢に現れるともいわれ、女性から男性に贈られたとか
漢方では解熱に用いる菊は、邪気を祓い、長寿を得るとされている
 


 
 

【旬の果物】

栗(くり)
 


 
 

【旬の兆し】

菊晴れ(きくばれ)
菊の花の咲くころに青空が晴れ渡ることを菊晴れという
菊は仙人の住むあたりに咲く花とされ、古くは菊に降りた朝露で体をぬぐう菊の被綿(きせわた)を行って、長寿を願ったとか
気持ちよく晴れた秋空は、それだけで心身が健やかな一日を過ごせそう
 


 
 

 
 

末候

蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)
きりぎりすが、戸口で鳴くころ
山野に出かけて虫の声を楽しむことを虫聞きという
新暦では、およそ十月十八日~十月二十二日ころ
 
 

【候のことば】

こおろぎか、きりぎりすか
この候の「蟋蟀」は、こおろぎか、きりぎりすか?
諸説ありどちらともさだかではないよう…
こおろぎの鳴き声の風情は、早くも万葉集に歌われていたとか
きりぎりすは別名を機織り虫とも。由来は鳴き声がギーッチョン、ギーッチョンと機織りのように聞こえるから
秋が深まり、野をにぎわせていたはずのきりぎりすやこおろぎが、灯りや温かさに惹かれてか、人の住まいに近づくさまを想像するとほほえましくも思える


 

【候の魚介】

鯖(さば)
塩焼き、味噌煮、しめさば、刺身…
脂ののった鯖は味わいさまざま。秋鯖と呼ばれる通り、旬は秋から冬にかけて。
青魚の王様とよばれるほど栄養豊富で、鯖の脂は血液をサラサラにしてくれる
 


 
 

 


 

【旬の果物】

柿(かき)
 


 
 

【旬の野鳥】

真鶴(まなづる)
 


 
 
かぁやん商店
 
 
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