食と暮らしの歳時記
四季折々の旬の味覚と年中行事、心身の養生法などをご紹介します。
二十四節気・七十二候、日本に古くから受け継がれてきた月ごとのならわしや行事。それらを旬の食とともに暮らしに取り入れ、愉しむことで情緒豊かな心と健康な身体が育まれることを願います。。
家族や友人、ご近所さんとのちょっとしたご挨拶の中の話題などに、また季節を感じる食卓の彩りとなれば幸いです。
霜降(10月23日〜11月6日頃)
霜降とは、朝夕にぐっと冷え込み、霜が降りるころのこと。
初めは山のほうで、12月に入ると平野にも霜がやってきます。
初候
霜始めて降る(しもはじめてふる)
霜が初めて降りるころ
農作物には大敵。足もとから冷えが来ないよう気をつけよう
新暦では、およそ十月二十三日〜十月二十七日ころ
【候のことば】
十三夜
中秋の名月ともう一夜、後の月と呼ばれる旧暦九月十三日も、名月として月見をする楽しみがあきにはある。十三夜の頃に収穫される作物にちなみ、栗名月、豆名月とも言われる。
十五夜と十三夜を併せて、二夜(ふたよ)の月と呼びならわします。
十五夜を眺めて、十三夜を見ないのは、片月見として忌みきらわれたとか。
【旬の魚介】
ほっけ
ほっけの干物は、酒の肴の定番
塩気がきいて、ふっくらとした身は、ごはんにもよく合う
旬は春と秋だが、それぞれ味わいが大きく異なるのが特徴
脂がのった春は塩焼きや干物に
秋はすり身をほっけ団子の汁や鍋などに
干物は身のほうから強火から中火でじっくり焼くと、旨味が閉じ込められて美味しく焼ける
【旬の草花】
紫式部(むらさきしきぶ)
秋がしだいに深まり、実が熟してやがて紫に染まる、紫式部
美しい実の色を、『源氏物語』の作者に例えて名付けたとか
【旬の野鳥】
ひよどり
ヒーヨ、ヒーヨと鳴く声からひよどりという名がついたとも
木の実や、やぶっぱきなどの花の蜜を好む
人里でも見かける身近な野鳥で庭先にみかんやりんごを置いておくと食べに来ることも
平安時代、貴族の間では、飼い主をちゃんと見分けるので、よくこの鳥が飼われていたとか
次候
霎時施す(しぐれときどきほどこす)
時雨が降るようになるころ
古の都人が歌に詠んだ、さあっと降っては晴れる、通り雨の小気味良さ
新暦では、およそ十月二十八日〜十一月一日ごろ
【候のことば】
初時雨(はつしぐれ)
【旬の野菜】
山芋(やまいも)
すりおろした山芋をかけるとろろごはんは、消化がよくて、スタミナがついて、しかも美味
昔から「山のうなぎ」と呼ばれていた
山芋は日本原産の自然薯や大和芋、長芋など、600種以上もある
10月末から2月が旬
【旬の魚介】
きんき
末候
楓蔦黄なり(もみじつたきなり)
紅葉や蔦が色づくころ
草木が黄や紅に染まることを、もみつといったのが語源だそう
(新暦では、およそ十一月二日~十一月六日ごろ)
【候のことば】
山粧う
秋の山が紅葉するようすを「山粧う(やまよそおう)」という
また、春の山のさわやかな初々しさは、山笑う
夏の山のあおあおとしてみずみずしいさまは、山滴る
冬の山の枯れた寂しさは、山眠る
めぐる季節それぞれの山の表情を捉えるのは、郭熙(かくぎ)という十一世紀の中国、北宋時代の画家のことばに由来
まるで山が生きているように、そこに宿る草木が生い茂っては色づき、枯れ、また芽吹く一年を、大きな心で言い表しているよう
【候の魚介】
かわはぎ
ふぐに勝るとも劣らないおいしさのかわはぎ
旬は秋から冬
【旬の野菜】
さつまいも
【旬の草花】
紅葉
かぁやん商店
食と暮らしの歳時記 全ての記事へ